飲食店の節税を税理士と実現する方法

「毎月の売上から税金でごっそり持っていかれる…」「もっと手元にお金を残す方法はないだろうか」そんな悩みを抱えながら、今日も厨房に立っていませんか。

実は、飲食店には業界特有の節税方法があり、税理士のアドバイスを活用すれば年間数十万円の税金を合法的に減らすことが可能です。青色申告への切り替え、適切な経費計上、消費税の簡易課税制度など、知らないだけで損をしている制度がたくさんあります。

しかし、間違った方法で節税しようとすると、税務調査で追徴課税を受けるリスクもあります。正しい知識を身につけ、専門家のサポートを受けながら実践することが大切です。

この記事では、飲食店経営者が今すぐ実践できる節税対策を、税理士の視点から具体的に解説します。あなたの店舗に最適な方法を見つけて、利益をしっかり守っていきましょう。

>>飲食店に強い税理士の選び方と活用法

飲食店の節税を実現するために税理士が提案する具体策

青色申告・法人化の活用

個人で営業している小さなカフェやレストランが税金を減らしたいと考えたとき、最初に検討すべきなのが青色申告への切り替えです。青色申告をすることで、年間の所得から最大65万円を差し引くことができるため、その分だけ税金の計算対象となる金額が少なくなります。これは店舗運営者にとって青色申告特別控除が年間数万円から十数万円の税金削減につながる重要な制度です

青色申告を始めるには、開業から2か月以内、すでに営業中の店舗なら3月15日までに税務署へ申請書を出す必要があります。白色申告と比べて帳簿をきちんとつける手間は増えますが、会計ソフトを使えば複式簿記も難しくありません。家族を従業員として雇っている場合、青色申告なら家族への給与を全額経費にできるメリットもあるため、夫婦や親子で営む店舗には特に有利です。

売上が順調に伸びて年間所得が900万円を超えてきたら、法人化を視野に入れる時期です。個人事業主の所得税は所得が増えるほど税率が上がり、最高で45%まで達しますが、法人税は基本的に一定の税率です。また、法人になると経営者自身の給与を経費として計上でき、退職金制度も作れるため、長期的な税金対策が可能になります。居酒屋やレストランなど、ある程度の規模で営業している店舗では、法人化による税制上のメリットを最大限に活用できるでしょう。

経費計上と減価償却のポイント

店舗運営で発生する支出を適切に経費として計上することが、実効性の高い税金対策の基本となります。食材費や人件費はもちろん、店舗の家賃、水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費など、営業に必要な支出はすべて経費になります。新メニュー開発のための試作費用や、競合店の調査で使った飲食代も研究開発費として認められます。

厨房機器や内装工事費など高額な設備投資については、減価償却という仕組みを使って数年にわたって経費化していきます。たとえば80万円のガスレンジを購入した場合、法定耐用年数の8年で割って、毎年10万円ずつ経費として計上することになります。店舗の内装工事も同様で、給排水設備は15年、電気設備は15年など、工事内容ごとに決められた年数で分割して経費にしていきます。

青色申告をしている場合は、30万円未満の備品や設備を一括で経費にできる特例があります。この制度を使えば、パソコンや小型の調理器具などを購入した年にすべて経費として処理でき、その年の税金を減らすことができます。ただし、年間300万円までという上限があるため、計画的な設備投資が必要です。営業が好調で利益が多く出そうな年には、この特例を活用して必要な設備を前倒しで購入することで、効果的な税金対策が可能になります。

消費税対策(簡易課税・インボイス対応)

消費税の納税額を減らすために多くの小規模店舗が活用しているのが簡易課税制度です。通常の計算方法では、売上で受け取った消費税から仕入れで支払った消費税を差し引いて納税額を計算しますが、簡易課税では売上の消費税に60%を掛けるだけで仕入れの消費税を計算できるため、実際の仕入率が60%より低い店舗では税金が安くなります

たとえば、売上が2000万円で実際の仕入れが1000万円の場合、通常なら消費税の納税額は100万円ですが、簡易課税なら80万円で済むため、20万円の節約になります。ただし、簡易課税を選択できるのは売上が5000万円以下の事業者に限られ、一度選択すると2年間は変更できないため、慎重な判断が必要です。

2023年10月から始まったインボイス制度への対応も重要な税金対策のひとつです。法人客が多い店舗では、インボイス発行事業者として登録しないと顧客が経費として認められなくなるため、売上に影響する可能性があります。一方で、個人客中心の店舗では、あえて免税事業者のままでいることで消費税の納税を避けるという選択肢もあります。仕入先についても、インボイスを発行できない農家や個人事業主から仕入れている場合は、その分の消費税が控除できなくなるため、取引先の見直しや価格交渉が必要になることもあります。

所得分散と赤字の繰越活用

家族経営の店舗では、家族に給与を支払うことで所得を分散させる方法が有効です。個人事業主の場合、所得が増えるほど税率が上がるため、一人に所得が集中すると税金が高くなります。配偶者や子供を従業員として雇い、適正な給与を支払うことで、それぞれに基礎控除が適用され、全体の税金を減らすことができます

青色申告をしている個人事業主なら、家族への給与を全額経費にできる青色事業専従者給与の制度が使えます。ただし、実際に店舗で働いていることが条件で、労働実態のない名目だけの給与は認められません。法人の場合は、家族を役員にして役員報酬を支払う方法もありますが、金額が高すぎると税務署から否認されるリスクがあるため、同業他社の水準を参考に適正な金額を設定することが大切です。

開業直後や改装時期などで赤字が出た場合も、適切に処理すれば将来の税金対策に活用できます。青色申告なら、個人事業主でも3年間、法人なら最大10年間赤字を繰り越すことができ、黒字になった年の所得と相殺して税金を減らせます。また、前年が黒字だった場合は、赤字を前年に繰り戻して、すでに支払った税金の還付を受けることも可能です。このような制度を活用することで、業績の波がある店舗でも長期的に見て税負担を平準化できます。

>>飲食店の青色申告を税理士に依頼するメリット

飲食店の節税を成功させる税理士視点のリスク管理

帳簿・証憑管理の徹底

税務調査で問題になりやすいのが、帳簿の記載漏れや領収書の保管不備です。毎日の売上を正確に記録し、現金残高と帳簿が一致しているか確認することが基本中の基本となります。特に現金商売が中心の店舗では、レジの記録と実際の現金に差が出やすいため、営業終了後には必ず締め作業を行い、差額が出た場合はその理由を記録しておく必要があります。

経費の領収書やレシートは、最低でも7年間保管しなければなりません。青色申告をしている事業者は、仕入伝票や請求書、銀行通帳なども含めて、すべての取引を証明できる書類を整理して保管することが法律で義務付けられています。最近では電子帳簿保存も認められているため、スキャンしてデータで保管する方法も選択できますが、その場合も税務署への事前申請が必要です。

仕入れの管理では、食材の在庫と帳簿上の数字が合っているか定期的に確認することが重要です。棚卸しを月末に行い、実際の在庫数と帳簿を照合することで、ロスや盗難の早期発見にもつながります。また、賄い食や試食分も適切に記録し、売上原価から除外する処理を忘れないようにしましょう。これらの日常的な管理が、税務調査での指摘事項を減らし、追徴課税のリスクを回避することにつながります。

税務調査への備え

税務調査は通常3年から5年に一度の頻度で行われますが、急激に売上が伸びた店舗や、同業他社と比べて利益率が極端に低い店舗は調査対象になりやすい傾向があります。調査官が特に注目するのは、売上の計上漏れ、架空経費の計上、在庫の過少申告の3点です

売上については、クレジットカード決済やキャッシュレス決済の記録と帳簿を照合されることが多く、計上漏れがあれば簡単に発覚します。団体予約のキャンセル料や、貸切営業の売上も忘れずに計上する必要があります。経費については、プライベートな支出が混じっていないか厳しくチェックされるため、事業との関連性を明確に説明できるようにしておくことが大切です。

調査当日は、質問に対して正直に答えることが基本ですが、わからないことは無理に答えず、後日確認して回答するようにしましょう。帳簿や領収書の提示を求められたときにすぐに出せるよう、日頃から整理整頓しておくことも重要です。もし誤りが見つかった場合は、素直に認めて修正申告を行うことで、重加算税などのペナルティを避けることができます。

キャッシュフローと資金繰り調整

利益が出ていても手元に現金がなければ店舗運営は続けられません。減価償却費は経費として計上されますが、実際には現金が出ていかない費用のため、その分を借入金の返済や将来の設備投資のために確保しておく必要があります。月次の資金繰り表を作成し、売上の入金タイミングと仕入れや経費の支払いタイミングを把握することで、資金不足を未然に防ぐことができます

税金の支払いも資金繰りに大きく影響します。所得税や法人税は決算から2か月以内に納付する必要があり、消費税も原則として年2回または4回に分けて納付します。予定納税の制度もあるため、前年の実績から当年の納税額を予測し、毎月一定額を積み立てておくことが賢明です。

設備投資のタイミングも重要な検討事項です。利益が多く出そうな年には、必要な設備を前倒しで購入することで税金を減らせますが、資金繰りが厳しくなるリスクもあります。リース契約を活用すれば、初期費用を抑えながら設備を導入でき、リース料は全額経費として処理できるため、資金繰りと税金対策の両立が可能です。銀行融資を受ける際も、決算書の見栄えを良くするために無理な税金対策をするのではなく、適正な利益を計上して信用力を維持することが長期的な経営安定につながります。

飲食店の節税に役立つ税理士が教える基礎知識

個人経営と法人経営の違い

個人事業主として店舗を運営する場合と、株式会社や合同会社として経営する場合では、税金の仕組みが大きく異なります。個人事業主の場合、店舗の利益はすべて個人の所得となり、所得税として納税します。所得税は累進課税のため、利益が増えるほど税率が上がり、最高で45%まで達します。一方、法人の場合は法人税を納め、税率は中小企業なら所得800万円まで15%、それを超える部分は23.2%と比較的低く設定されています。

社会保険の扱いも異なります。個人事業主は従業員が5人未満なら社会保険の加入義務がありませんが、法人は規模に関わらず社長一人でも社会保険への加入が必須です。社会保険料は会社と個人で折半するため、法人化すると人件費が増加しますが、将来受け取る年金額は増えるメリットもあります。

経費として認められる範囲にも違いがあります。個人事業主の場合、生命保険料は所得控除として一定額しか認められませんが、法人なら経営者を被保険者とする生命保険の保険料を経費として計上できます。また、法人なら経営者自身の給与(役員報酬)も経費になるため、所得を法人と個人に分散させることで全体の税負担を軽減できます。ただし、法人は赤字でも法人住民税の均等割(最低7万円)を納める必要があるため、利益が少ない段階では個人事業主の方が有利な場合もあります。

主な税金の種類と特徴

店舗運営に関わる税金は多岐にわたり、それぞれ計算方法や納付時期が異なります。所得税や法人税は利益に対して課税され、確定申告によって税額が決まります。住民税は前年の所得を基に計算され、個人なら6月から翌年5月にかけて4回に分けて納付、法人なら法人税と同時期に納付します。

事業税は、個人なら所得から290万円を控除した金額に5%を掛けて計算します。法人事業税は所得に対して課税されますが、外形標準課税の対象となる大企業以外は、基本的に利益が出なければ納税義務は発生しません。消費税は、売上が1000万円を超えると2年後から納税義務が生じ、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた金額を納付します。

固定資産税は土地や建物を所有している場合に課税され、毎年1月1日時点の所有者に納税義務があります。店舗を賃貸している場合は大家が納税しますが、内装や厨房設備などの償却資産を所有している場合は、償却資産税として別途納税が必要です。これらの税金を合計すると、利益の30%から40%程度が税金として出ていくことになるため、計画的な資金管理が欠かせません。

節税の前提条件と注意点

正しい税金対策を行うためには、まず自店の経営状況を正確に把握することが必要です。月次で試算表を作成し、売上高、原価率、人件費率などの経営指標を同業他社と比較することで、改善すべき点が見えてきます。過度な節税は事業の成長を妨げる可能性があるため、必要な投資は惜しまず、適正な利益を確保しながら合法的な範囲で税負担を軽減することが重要です

税制は頻繁に改正されるため、最新の情報を把握しておく必要があります。たとえば、中小企業向けの設備投資減税や雇用促進税制など、期間限定の優遇措置を活用できれば大きな節税効果が期待できます。また、自治体独自の補助金や助成金も併用することで、実質的な負担を軽減できる場合があります。

専門家のサポートを受けることも検討すべきです。税金の専門家に相談することで、自店に最適な対策を提案してもらえるだけでなく、税務調査への対応や資金調達のアドバイスも受けられます。顧問料は経費として計上でき、適切なアドバイスによる節税効果を考えれば、十分に元が取れる投資といえるでしょう。ただし、すべてを専門家任せにするのではなく、経営者自身も基本的な税務知識を身につけ、日々の経営判断に活かしていくことが、長期的な店舗経営の成功につながります。

>>飲食店の青色申告を税理士に依頼するメリット

飲食店の節税を税理士と実現するためのまとめ

飲食店を経営していく中で、税金対策は避けて通れない重要な課題です。青色申告を活用すれば年間最大65万円の控除が受けられ、家族への給与も全額経費にできるため、個人経営の店舗には特に有効です。売上が伸びて所得が900万円を超えたら法人化を検討し、税率の違いを活用することで大幅な節税が可能になります。

飲食店特有の経費である食材費や厨房設備の減価償却を適切に処理し、消費税の簡易課税制度を選択することで、実質的な税負担を軽減できます。ただし、帳簿や領収書の管理を怠ると税務調査で追徴課税を受けるリスクがあるため、日頃からの適正な記帳が欠かせません。

税制は頻繁に改正され、インボイス制度のような新しい仕組みも導入されているため、最新の情報を把握し続けることが必要です。専門的な知識を持つ税理士のサポートを受けながら、自店に最適な節税対策を実践することで、健全な経営を維持しながら手元に残る利益を最大化できるでしょう。

節税対策 具体的な方法 効果・注意点
青色申告の活用 複式簿記による記帳、電子申告 最大65万円控除、家族給与の全額経費化
法人化 所得900万円超で検討 税率の違いを活用、役員報酬の経費計上
減価償却 設備投資の計画的実施 30万円未満は一括経費化可能
消費税対策 簡易課税制度の選択 みなし仕入率60%で計算簡素化
所得分散 家族への給与支払い 累進課税の回避、基礎控除の活用
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